「災害ビジネス」という言葉を耳にしたとき、あなたはどんなイメージを抱きますか?
防災グッズや保険のように人を守るビジネスもあれば、人々の不安を煽り利益を得る「便乗商法」も存在します。
今回は、漫画家たつき諒さんの著書『私が見た未来』を切り口に、災害ビジネスの光と影を徹底解説します。
📕 『私が見た未来』とは?
- 著者:たつき諒
- 初版発行:1999年(飛鳥新社)
- 内容:夢で見た未来の出来事(予知夢)を記録したエッセイ漫画
- 注目ポイント:「2011年に大災害が起きる」という記述が東日本大震災後に話題に。また2025年7月に大きな災害が起きると夢で見た、感じた、という記述の一部が誇張されて拡散され、XをはじめとしたSNSやネットニュースで取り上げられています。
🌀 予言と災害ビジネスの危うい関係
人は「未来がわからない不安」を抱えます。「夢で未来を見た」という話は一見魅力的で、「これを信じれば助かるかもしれない」と思わせる力を持っています。
しかし、それを利用した便乗商法が問題になっています。
下の表は便乗商法として実際にあった危険な災害ビジネスの例です。
お守りを買っても空腹は収まりませんし、寄付しても必ず正しい使われ方をするとは限りません
🌪️ 代表的な便乗詐欺・商法の被害例
1️⃣ 東日本大震災(2011年)の場合
- ・消費者庁などによると、震災後に寄付金詐欺や義援金詐欺が多発。
- ・被害総額として正式に公表はされていませんが、少なくとも数億円規模と推定されています。
- ・義援金を装った振込詐欺、偽の団体名義などが多かった。
2️⃣ コロナ禍(2020年以降)の場合
- ・「消毒液」「マスク」などを高額転売するケースが大量発生。
- ・国民生活センターによると、2020年度だけでも「コロナ関連詐欺」の相談件数は約28,000件超。
- ・消費者庁が把握した詐欺被害額は数十億円規模と推計されます。
3️⃣ 台風・豪雨災害後
- ・屋根修理や家屋リフォーム詐欺が増加。
- ・「今すぐ直さないと危険」などと煽り、数十万円〜数百万円の工事費をだまし取るケースが目立ちます。
🔥 本当に必要な防災とは?
「予言」や「霊的メッセージ」ではなく、科学的根拠に基づく防災が最も大切です。
✅ 具体的に必要な備え
- ・ハザードマップの確認
- ・避難所・避難経路の把握
- ・非常食・飲料水の備蓄
- ・モバイルバッテリーや簡易トイレなどの防災グッズ
- ・近所や家族との連絡体制の確認
⚠️ 「不安」を利用する人に注意
災害への備えは命を守るために必要不可欠ですが、それを「お金儲けの道具」として使う人たちには要注意です。
『私が見た未来』のように一部の「的中エピソード」だけを切り取り、「他の予言も必ず当たる」と誘導するケースは特に危険です。
スピリチュアルや占いを「娯楽」として楽しむ分には良いですが、そこに多額の出費をしたり、生活の中心に置くのはリスクが高いと言えるでしょう。
作者自体も災害ビジネスの被害者?
多くの人が忘れがちですが、たつき諒さん自身も「災害ビジネスの被害者」と言えるかもしれません。
『私が見た未来』の出版当時、たつきさんは「夢を記録したかっただけ」と話していました。しかし出版後、予言者としてのイメージが独り歩きし、「すべてを予知できる超能力者」のように扱われてしまいます。
さらに、「出版社に無理やり描かされた可能性も否めない」との声もあります。実際、出版業界では売上のためにセンセーショナルな表現を求めることがあるのは事実です。
結果的に作者の意図とは無関係に、書籍が「不安を煽るコンテンツ」として利用され、たつきさん自身が巻き込まれてしまったのです。
📝 まとめ
『私が見た未来』はあくまでも作者個人の夢の記録です。
- すべてを予言として信じないこと
- 災害ビジネスには冷静に向き合うこと
- 科学的根拠に基づく防災を徹底すること
そして、作者自身も「災害ビジネスの被害者」であり、出版社に無理やり描かされた可能性も否めないという視点を持つことが大切です。
予言や噂に振り回されず、正しい知識と備えで大切な人と自分の命を守っていきましょう。
追記
最近「7月が危ない」とか「大地震が7月5日に起きる」って話題になって、元をたどるとたつき諒さんの著書に行きついたんですよね。調べたら結構面白かったので思わず記事にしてしまいました。何はともあれ災害が起きる起きないにかかわらず準備はしておいたほうがよさそうです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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